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司法書士のダブルライセンス、相性の良い資格を厳選紹介!相乗効果の高い関連資格とは?
司法書士とダブルライセンスすることで相乗効果の高い資格には何があるでしょうか?本記事では司法書士と相性の良い資格をランキング形式でご紹介したいと思います。
本記事では組み合わせる事で効果を発揮する強み以外にも出題範囲の相性や合格率の情報もあわせて記載しております。かなり盛りだくさんの内容となっておりますが、今後の資格取得戦略の検討にご活用頂けると思います。
以下のように司法書士の次に取る資格に悩んでいる方や、関連資格をすでに取得しておられ、次に取る資格として司法書士をターゲットに見据えている方も是非参考にして頂きたいと思います。
- 容易に取得出来て司法書士を強化出来る資格は?
- 更に収益性を上げるにはどの資格を取れば良いか?
- 出題範囲が近くて勉強しやすい資格はないか?
- 今持っている資格と司法書士の相性はどうか?
まだ司法書士を取得していない方や気になっている方は、働き方や稼ぎ方をあらかじめ理解して頂いた方が、ダブルライセンスの意義や本質をより理解しやすいとお思いますので、以下の記事も合わせてご一読下さい。
この記事の目次
資格をダブルライセンスする意義
おすすめの資格の組み合わせを見る前に、資格をダブルライセンスする意義について基本を整理しておきましょう。「とにかく沢山資格を取って箔を付けるぞ!」とお考えの方は、ご一読下さい。
片方の資格の収益性が低下した時、保険として他の資格を取っておく事がダブルライセンスの意義として語られる事もありますが、決してそうではありません。ダブルライセンスの意義とは、資格同士の良さがブレンドされてより多くの顧客を獲得して収益性をアップさせる事にあります。
そのために、司法書士の業務へ効率的に顧客を流す事が出来る資格を、逆に司法書士の資格から他資格の業務へ顧客を流す事が出来る資格をダブルライセンスするのは、基本中の基本だと思います。
ネームバリュー的に復数の資格を取得している方は、お互いの資格を活かしたビジネスモデルを構築できず、宝の持ち腐れになってしまいがちです。「どのような仕事がビジネスとして繋げやすいか」をしっかり理解した上で、効率的に資格取得をすすめるべきだと思います。
司法書士+行政書士
資格の相性を5段階評価
- 司法書士との相性:
- 資格のお手軽度 :
- 試験内容の相性 :
- 試験内容の相性が大変良好で勉強しやすい
- 登記と許認可の得意分野がマッチング
会社設立から許認可への単純・強力なビジネスモデルを実現
行政書士は官公署に提出する書類を作成を行う国家資格で、法的な書類作成の専門家です。官公署に提出する書類・権利関係、事実証明に関する書類を顧客に代わって作成するのが主な仕事となります。
行政書士は特に「許認可」に強みを持っており、例えば「建設業を始めたい」「飲食店を営業したい」といったケースにおける許可申請は行政書士の独占業務となっています。
この行政書士が得意とする許認可と、司法書士の登記に関する専門性の相乗効果が両者のダブルライセンスの最大の強みとなります。
新しく会社を設立してビジネスを始めたいと考えた時、簡単に言うと「会社を作る→営業許可を取る」という流れになりますが、司法書士と行政書士では以下のような仕事の棲み分けがなされています。
■会社設立に関する業務 | 司法書士 | 行政書士 |
定款の作成 | ||
公証人役場での認証手続き | ||
設立登記 | ||
許認可手続き |
会社設立の一連の手続きの中で「定款の作成~登記」に関しては司法書士の領域となりますが、続く営業許可等の許認可は行政書士の領域となります。
司法書士の資格だけですと高確率で発生するであろう許認可のプロセスを取りこぼしてしまう事になります。両資格をダブルライセンスしていると会社設立の一連の手続きをワンストップで受ける事が可能となるため、シンプルかつ強力なダブルライセンスと言えます。
新しく会社を設立する時だけでなく、更に会社設立後において異なる切り口による集客も可能となります。
例えば建設業の許可申請を取るためには、必要な手続きとして「定款の事業目的変更」や「役員の変更」と言った変更登記の手続きがセットで発生する事が多くなります。
このケースでは建設許可申請の手続きを行政書士として受けて、セットで司法書士による変更登記の仕事もこなすという流れになります。このように登記と許認可は密接に絡み合う手続きなので、司法書士と行政書士は大変相性の良い資格と言えます。
行政書士の資格試験情報
■行政書士試験の出題内容一覧(2019年度実績) | |||
1.行政書士の業務に関し必要な法令等 | |||
出題形式 | 科目 | 出題数 | 配点 |
5肢択一式 | 基礎法学 | 2問 | 8点 |
憲法 | 5問 | 20点 | |
行政法 | 19問 | 76点 | |
民法 | 9問 | 36点 | |
商法・会社法 | 5問 | 20点 | |
多肢選択式 | 憲法 | 1問 | 8点 |
行政法 | 2問 | 16点 | |
記述式 | 行政法 | 1問 | 20点 |
民法 | 2問 | 40点 | |
小計 | 46問 | 244点 | |
2.行政書士の業務に関連する一般知識等 | |||
出題形式 | 科目 | 出題数 | 配点 |
5肢択一式 | 政治・経済・社会 | 7問 | 28点 |
情報通信・個人情報保護 | 4問 | 16点 | |
文章理解 | 3問 | 12点 | |
小計 | 14問 | 56点 | |
合計 | 60問 | 300点 |
司法書士と行政書士の出題科目としては「憲法/民法/会社法・商法」が重複しているため、試験範囲の重なりとしてはダブルライセンスの組み合わせの中でも多い部類に入ります。
もちろんすべての試験範囲が100%重複しているわけではないのですが、多くの知識が転用できる勉強しやすさという点においても、両者はおすすめの組み合わせと言えます。
行政書士→司法書士へのステップアップを行う場合、「憲法」に関しては行政書士の学習知識で対応出来ると思いますし、「民法/会社法・商法」に関しては行政書士で学んだ知識を肉付けする形で対応可能です。
■行政書士試験の合格率 | |||
開催年度 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
2018年度 | 39,105人 | 4,968人 | 12.7% |
2019年度 | 39,812人 | 4,571人 | 11.5% |
2020年度 | 41,681人 | 4,470人 | 10.7% |
行政書士試験の合格率は直近で概ね10%程度で推移しており、数値上は司法書士より難易度は低くなりますが、難関資格である事が見て取れます。
行政書士試験は「1.行政書士の業務に関し必要な法令等」の50%以上、「2.行政書士の業務に関連する一般知識等」の40%以上の得点が必要な足切り制度の存在が合格率を大きく下げる要因となっています。
また、法律系の資格試験の勉強の経験が無い方が、登竜門として行政書士を受験する傾向がある事も少なからず合格率の低さに影響していると思います。行政書士試験は、極端な苦手分野を作らずウェイトが大きい「行政法・民法」でしっかり得点する事が合格への近道となります。
司法書士+土地家屋調査士
資格の相性を5段階評価
- 司法書士との相性:
- 資格のお手軽度 :
- 試験内容の相性 :
- 不動産登記の手続きをワンストップで
- 筆界特定により紛争(揉め事)にも切り込む事が可能
不動産登記において強固な協力関係を持つ資格同士
不動産登記は、不動産(土地および建物)の物理的現況(種類・構造・面積など)と、権利関係(登記目的など)を公示するために「登記簿」に記載する事を言い、登記簿は「表示に関する登記(表題部)」と、「権利に関する登記(権利部)」の2つに別れています。
不動産登記と言えば司法書士の仕事というイメージがあると思いますが、司法書士が行う事が出来るのは「権利に関する登記」となります。方や「表示に関する登記」は必ず行う必要があり、土地家屋調査士だけが行う事が出来る独占業務となります。
土地家屋調査士は測量の技術も求められるため、司法書士の専門分野との乖離が強めのダブルライセンスの組み合わせとはなりますが、不動産登記の手続きを一手に引き受ける事が出来る点で強みがあります。
不動産登記は不動産の売買シーンで発生しますが、土地の境界が曖昧である場合に所有者間で揉めたりすると、建物や土地を売買するより前の段階でストップしてしまうので、不動産登記のプロセスへ移行する事が出来ません。
土地家屋調査士はこのように境界がはっきりしない土地の問題を「特定筆界」によって明確化する事が出来るため、揉め事を解決した後に不動産登記へ顧客を流すというビジネスモデルを構築する事も可能です。
土地家屋調査士と司法書士は相互に協力関係にあり、ダブルライセンスの効果が高い組み合わせと言えます。
土地家屋調査士の資格試験情報
■土地家屋調査士試験の内容 筆記試験 | |||
時間割 | 出題内容 | 出題形式 | 配点 |
午前の部 | 平面測量に関する問題 | 多肢択一形式10問 | 60点 |
作図 | 記述式1問 | 40点 | |
午後の部 | 不動産登記法・民法・土地家屋調査士法 | 多肢択一形式20問 | 50点 |
土地に関する問題 | 記述式1問 | 25点 | |
建物に関する問題 | 記述式1問 | 25点 | |
合計 | 200点 | ||
■土地家屋調査士試験の内容 口述試験 | |||
業務に必要となる知識について、試験官数名との質疑応答の形で約15~20分程度。 |
筆記試験は午前と午後に分かれており、午前の部は測量問題や作図となりますので、司法書士の学習知識を活かす事が出来ません。実は午前の部は「測量士」「測量士補」「一級建築士」「二級建築士」の資格を保持している場合は、免除されます。
午前の部に真っ向からぶつかりたい所ですが、試験対策が充実しておらず難易度が高いため、合格率が20%~40%と比較的合格しやすい「測量士補」を取得して免除を受ける方が多いです。
午後の部については「民法・不動産登記法」に出題科目の共通点を見出す事が出来ます。民法については土地家屋調査士の方が遥かに出題数が少ないため、司法書士の学習知識があれば十分カバー出来ると言えます。
不動産登記法については「表示に関する登記」部分については、司法書士の学習知識では補えない部分なので、追加で知識をインプットする必要があります。
まとめると、午前の部の免除を受けるために測量士補を挟む必要があるという点で少々難易度は高いですが、午後の部については司法書士の学習知識を活かせるので相性としてはまずまずといった所でしょうか。
■土地家屋調査士試験の合格率 | |||
開催年度 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
2018年度 | 4,380人 | 418人 | 9.54% |
2019年度 | 4,198人 | 406人 | 9.68% |
2020年度 | 3,785人 | 392人 | 10.36% |
土地家屋調査士試験は筆記と口述に分かれており、筆記試験に合格した方が口述試験に進む事が可能です。口述試験は落とす為の試験では無いと言われていますが、学んだ知識を言葉にして出す訓練は必須です。
土地家屋調査士試験は相対評価試験となっており、足切りが設定されていますので合格率は低くなりやすい傾向にあると言えます。司法書士 → 土地家屋調査士へ進む方は、知識のアドバンテージをしっかり活かしたい所ですね。
司法書士+宅建士
資格の相性を5段階評価
- 司法書士との相性:
- 資格のお手軽度 :
- 試験内容の相性 :
- 不動産の仲介+司法書士報酬をWでゲット
- 相続シーンで発生する不動産売買に強み
登記と相続のシーンで強力なアドバンテージを発揮
宅建士は不動産取引の知識を有する専門家です、不動産取引は大金が動きますから不当な契約を結んでしまうと思わぬ損害を被る危険性があります。
顧客が知っておくべき売買や貸借の契約に係る重要事項の説明をするのが宅建士の仕事で、これは宅建士だけが出来る独占業務となっています。
宅建士+司法書士の組み合わせは「登記」において威力を発揮します。会社設立に伴う登記が発生する時は、事務所用の土地・不動産の取得やテナントの借り入れなど、不動産の取引が介在するケースが殆どなので、宅建士の仕事へ顧客を流しやすいと言えます。
「会社事務所をどこに構えようかな?」と言った顧客に優良な物件を紹介するだけでなく、司法書士による登記手続きもワンストップで受ける事が出来る、優れたビジネスモデルを構築可能です。
登記申請には司法書士の知識に加えて、実務的な知識を宅建士の資格で深堀りしておくと現場目線での正確な手続きが可能というメリットも挙げられます。
更に、宅建士+司法書士の組み合わせは「相続」においても威力を発揮します。
相続人・財産の調査、遺産分割協議書の作成等の手続きは司法書士に依頼されるケースが多く亡くなった方が何らかの不動産を有している場合は、売却・分割などがあわせて発生します。
「相続手続きが終わったら、不動産の売却をしたい」というニーズに、宅建士としてスムーズに答える事が可能です。売却前後に万一問題が発生しても、司法書士として法的な観点からサポート出来るというメリットもあります。
このように司法書士+宅建士のダブルライセンスは大変理想的な組み合わせなので、司法書士が不動産会社を設立して兼業しようというのはごく自然な流れだと思います。
宅建業を営むには事務所ごとに「5人に1人以上」の割合で専任の宅地建物取引士を設置しなければならないというルールがありますので、不動産会社を設立して自分自身が専任の宅地建物取引士になれば良さそうに思えます。
しかし、宅建業免許は「法人」として取得する事は出来ず、「個人事業主」として申請して取得しなければならないという制約があります(※各都道府県によって条件が異なります)。
このような制約があるため司法書士が不動産業を兼業するケースは、全国的に見るとまだまだ数が少ない実情がありますが、競合が少ないということは逆にビジネスチャンスとも言えます。
「不動産会社にあまり良いイメージが無い」という方も多いと思いますから、リーガルチェックがしっかりした信頼の出来る司法書士に不動産の取引も任せたいという方は多いと思いますので、潜在的な需要はかなりあると言えます。
宅地建物取引士試験の資格試験情報
■宅地建物取引士試験の内容 | |||
試験科目 | 関連法律・法令等 | 出題形式 | 配点 |
権利関係 | 民法・借地借家法・不動産登記法・建物区分所有法 など | 4肢択一式14問 | 14点 |
宅建業法 | 宅地建物取引業法 | 4肢択一式20問 | 20点 |
法令上の制限 | 都市計画法・建築基準法・国土利用計画法・農地法・宅地造成等規制法・土地区画整理法 | 4肢択一式8問 | 8点 |
その他の法令(税・価格) | 所得税・印紙法・不動産取得税・固定資産税・鑑定評価 | 4肢択一式3問 | 3点 |
その他の法令(免除科目) | 住宅金融支援機構・景品表示法・統計・土地・建物 | 4肢択一式5問 | 5点 |
合計 | 50問 | 50点 |
出題内容としては、「民法と不動産登記法」に共通点を見出す事が出来ます。不動産に強みを持っている資格同士なので学習をすすめる上で総合的に相性は良いと言えます。
ダブルライセンスの取得戦略として「宅建士 → 司法書士」は理想形の1つですし、逆に「司法書士 → 宅建士」へ進む場合は、本来鬼門となる民法が司法書士の知識で余裕でカバー出来てしまうアドバンテージがあります。
「その他の法令(免除科目)」は5問免除と言われ、不動産業界で働いている方が登録講習を修了する事で免除を受ける事が可能な科目です。
■宅地建物取引士試験の合格率 | |||
開催年度 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
2018年度 | 213,993人 | 33,360人 | 15.6% |
2019年度 | 220,797人 | 37,481人 | 17.0% |
2020年度(10月) | 168,989人 | 29,728人 | 17.6% |
2020年度(12月) | 35,261人 | 4,610人 | 13.1% |
宅建士は不動産業界の必須資格と言われるために、就職後に十分な実力が伴わない状態で受験したり、法律系資格の学習経験のない方が最初に受験する事になるケースも多く、慣れの問題も相まって合格率がかなり低めに出る傾向があります。
宅建士は合格率としては行政書士と数%しか変わらないため、一見して難関に見えますが「何度受けても全く太刀打ち出来ない」という類の資格試験では無いといえます。
出題形式は択一式だけで、口述試験や記述といった出題形式の特性に合わせた個別の対策を講じる必要はないですし、対策講座や書籍も豊富で勉強しやすい環境は整っていますから是非チャレンジして頂きたいと思います。
司法書士+税理士
資格の相性を5段階評価
- 司法書士との相性:
- 資格のお手軽度 :
- 試験内容の相性 :
- 避けて通れない「税」の手続きを税理士で
- 税理士顧問契約で長期安定報酬も
司法書士から税理士への理想的なバトンタッチを実現
税理士は法人企業や個人事業主などに対して税金の計算、あるいは年末調整や確定申告などの手続きを代行したり、税務相談に応じたりと税金に関する業務に特化した税のスペシャリストです。
司法書士が得意とする業務は、必ずと言って良い程「税」が絡むため、依頼者から「ところで税金の事なのですが・・・」と質問を受けたり相談を持ちかけられる事が多くなります。
しかし、税務署などに提出する書類の作成や申告、税金の計算や税務相談は税理士だけが可能な独占業務となっていますから、司法書士が行う事が出来ません。
税は嫌でも絶対に避けて通れない問題なので、もしも税理士をダブルライセンスしていれば、税に関する手続きや相談も受ける事が可能です。「会社設立」と「相続」において、司法書士+税理士の組み合わせがどのように活かされるのか整理しておきます。
■会社設立の手続きと対応資格 | |
申請・手続き等 | 得意とするする士業 |
定款作成 | 司法書士 |
設立登記 | 司法書士 |
営業許可等の許認可 | 行政書士 |
青色申告の承認申請 | 税理士 |
給与支払事務所等の開設届出 | 税理士 |
各種税務調整 | 税理士 |
会社設立の手続きにおいて「登記」以降は、事業を稼働させるための諸々の準備段階入る訳ですが、そこでは税理士が活躍するシーンが目白押しとなっています。
青色申告、給与支払事務所等の開設届出は従業員を雇い入れて事業を行う組織にとって必須の手続きとなります、会社設立から各種税務手続きまでをパッケージ化して提供すれば、トータルで大きな報酬を得ることが出来ます。
また、会社設立後も会計記帳や税務申告等の業務が定期的に発生しますので、顧客と顧問契約やあるいはコンサルの立場を確立すれば、一過性のものではなく安定的に報酬を得続ける事が出来るのは大変魅力的です。
■相続の手続きと対応資格 | |
申請・手続き等 | 得意とするする士業 |
相続人・財産の調査 | 司法書士 |
遺言書の作成 | 司法書士 |
遺産分割協議書の作成 | 司法書士 |
不動産の相続登記 | 司法書士 |
相続税申告 | 税理士 |
相続は司法書士が得意とする業務の1つです、遺言書の作成等の業務を司法書士として受けて、故人が何らかの不動産を有しており相続が発生するケースでは、不動産の登記から、税理士として相続税までワンストップで受ける事が可能となります。
このように司法書士の担う業務は前後に「税」に関する手続きが発生する事が多いため、効率的に税理士の業務へ顧客を流す事が出来、理想的なビジネスモデルを構築出来ます。
司法書士と税理士は大変権威性の高い資格同士の組み合わせのため、顧客に与える安心感が大きく集客の面でも優位性があると言えます。
税理士試験の資格試験情報
■税理士試験の選択科目のルール | ||
科目 | 選択ルール | |
簿記論 | 必須 | 必ず選択 |
財務諸表論 | 必須 | 必ず選択 |
所得税法 | 選択必須 | 何方か1科目または2科目選択必須 |
法人税法 | 選択必須 | |
相続税法 | 選択 | |
消費税法 | 選択 | 何方か1科目のみ選択可能 |
酒税法 | 選択 | |
国税徴収法 | 選択 | |
住民税 | 選択 | 何方か1科目のみ選択可能 |
事業税 | 選択 | |
固定資産税 | 選択 |
税理士試験は科目合格制度を採用しており、何年か掛けて5科目に合格するのがセオリーとなります。科目別に「必須・選択必須・選択」と別れていますので、どの科目を選ぶかで勉強の進め方や合格までの時間が変わって来ます。
司法書士も税理士も法律系士業なのでお互いに法律の出題が目白押しです。司法書士試験では民法や憲法などの基本法に加えて登記法や供託法等の手続法が問われます。対して、税理士試験で問われる法律はほぼすべて税法のため、学習範囲の重複はあまり無いと言って良いでしょう。
学習知識の転用が効きづらいという点において、司法書士+税理士の組み合わせには勉強しやすさを求める事は出来ないと言って良いでしょう。
■税理士の合格率(2020年度) | |||
科目 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
簿記論 | 10,757人 | 2,429人 | 22.6% |
財務諸表論 | 8,568人 | 1,630人 | 19.0% |
所得税法 | 1,437人 | 173人 | 12.0% |
法人税法 | 3,658人 | 588人 | 16.1% |
相続税法 | 2,499人 | 264人 | 10.6% |
消費税法 | 6,261人 | 782人 | 12.5% |
酒税法 | 446人 | 62人 | 13.9% |
国税徴収法 | 1,629人 | 198人 | 12.2% |
住民税 | 381人 | 69人 | 18.1% |
事業税 | 335人 | 44人 | 13.1% |
固定資産税 | 874人 | 118人 | 13.5% |
上記は科目別の合格率となっており、1発で5科目に合格する人は非常にまれと言って良いでしょう。数年掛けてようやく合格できる難関資格となっており、総学習時間は数千時間と言われています。
司法書士+税理士のダブルライセンスは「業務の相性・集客性・安定性」共にトップクラスの組み合わせではありますが、実現するために何年も掛かるという点がデメリットとなります。しかし、実現すればこれ以上無い優れたビジネスモデルを構築出来るのは間違いありません。
司法書士+FP
資格の相性を5段階評価
- 司法書士との相性:
- 資格のお手軽度 :
- 試験内容の相性 :
- コンサル資格で集客の窓口を拡大
- 相続・事業承継の分野で好相性
コンサルスキルで営業戦略を強化
FP(ファイナンシャルプランナー)は、保険・税金・年金・投資・不動産・相続といった幅広い分野に精通した資格であり、生涯設計(ライフプラン)のコンサルタントとして知られています。
FP+司法書士のダブルライセンスでは生涯設計という切り口で顧客にアプローチ出来るため、司法書士単独よりも手広く集客する事が可能となります。営業的な部分でのメリットが大きい組み合わせと言えるでしょう。
FPは大変幅広い分野を扱いますが、FP→司法書士の流れを考えた時には「相続」の分野が特に相性が良いと言えるでしょう。
相続では不動産・証券・負債等諸々の資産を単純に売却するだけではなく今後の効果的な運用をどうしてゆくべきかという課題が出てきます。FPであれば相談者(相続人)の収支等のバランスを踏まえて生涯設計をフォロー・提案する事が可能です。
更に遺言や遺産の分割、不動産の登記など法的な手続きは司法書士として行う事で、コンサル報酬と手続きの代行報酬を得る事が可能となります。
また「事業承継」の分野も相性が良いと言われます。事業承継では「誰に事業を継がせるのか?」「株式はどうするのか?」など、現状の課題を見える化して今後の円滑な事業の継続を行うため対策を行います。
事業承継で必要とされる一連のフローの中で、株式の取り扱い(株価対策・株式買取り・譲渡など)対策ではFPが活躍し、不動産の登記や経営者の遺言の手続き等の対策では司法書士が活躍します。
事業承継については顧客の会社の規模にもよりますが、現状の把握から始まって長期になる事が多く、FP・司法書士・弁護士・税理士等が協力して案件に当たる必要があるため、組織化出来ていないと案件を処理出来ない点に注意が必要です。
また、事業承継の相談相手としては、会社の顧問税理士・商工会議所・M&Aのコンサルティング会社が選択される事が多いため、個人でFPで受けて司法書士の仕事へ顧客を流すというビジネスモデルは構築しづらいかと思います。
FPは名称独占資格のため、独占的に出来る仕事があるわけではありません。実際的な手続きは士業に頼らざるを得ないため、何らの士業をダブルライセンスしてそちらへ顧客を流すか、あるいは他士業と提携しているケースも多くなります。
FP技能士試験の資格試験情報
■FP3級の合格率(開催団体:日本FP協会) | ||
出題科目名 | 出題内容 | |
A.ライフプランニングと資金計画 | 社会保険・年金・住宅ローン・住宅資金等 | |
B.リスク管理 | 保険商品全般とリスク管理についての知識等 | |
C.金融資産運用 | 株式・為替・債券・投資信託など、資金の運用方法等の知識 | |
D.タックスプランニング | 所得税・法人税・消費税など税金等に関する知識 | |
E.不動産 | 不動産取引・法規・査定等の知識 | |
F.相続・事業承継 | 贈与・相続に関する法律や税金の知識等 |
試験範囲としては「E.不動産」と「F.相続・事業承継」の分野に共通点を見出す事が出来ます。それ以外は住宅ローンの借り入れ方法や資金の運用方法など、コンサル資格らしいFPならではの出題科目となります。
FPの学習範囲はライフプランに関わる知識がまんべんなく問われますので、あらゆる士業のエッセンスがまんべんなく入っていると言っても良いでしょう。そのため、司法書士の学習知識が転用出来る箇所は限定的となります。
例え同じジャンルの出題科目であったとしても、法律色の強い司法書士とコンサル色の強いFPでは出題のアプローチが異なりますから、別物と捉えるのが妥当かと思います。
もちろん基礎的な法律の知識を問う問題については、司法書士の学習経験が使えるのでかなりのアドバンテージがありますが、FPの事例問題などは専用の対策が必要と言えます。
■FP3級の合格率(開催団体:日本FP協会) | ||
開催年度 | 学科試験合格率 | 実技試験合格率 |
2020年1月 | 87.92% | 86.53% |
2020年9月 | 89.64% | 88.04% |
2021年1月 | 85.34% | 79.45% |
■FP2級の合格率(開催団体:日本FP協会) | ||
開催年度 | 学科試験合格率 | 実技試験合格率 |
2020年1月 | 41.86% | 62.61% |
2020年9月 | 49.19% | 57.37% |
2021年1月 | 44.02% | 71.01% |
■FP1級の合格率(開催団体:金融財政事情研究会) | ||
開催年度 | 学科試験合格率 | 実技試験合格率 |
2018年 | 11.38% | 85.93% |
2019年 | 10.12% | 86.08% |
2020年 | 13.41% | 84.92% |
FP技能試験は、日本FP協会と金融財政事情研究会(きんざい)の2つの団体によって試験が運営されているのが特徴です。実技試験は複数の科目から選択する形式のため、記載の合格率は平均値となりますので参考程度とお考えください。
FP3級・FP2級については、司法書士に合格できるレベルの方であれば文句なく一発合格が可能と思います。FP1級は合格率としては行政書士に匹敵する程の難易度となっています。
「相続・事業承継」の分野は取り扱いの難易度が高いため、堂々とこれらを扱うコンサルを名乗るには、認定資格であるAFP・CFPまたはFP1級レベルは必須と言えるでしょう。
司法書士のおすすめダブルライセンスまとめ
ダブルライセンスは集客力の向上をもたらしてくれる優れたツールとなります。しかし、駆け出しの状態では組織力が十分ではないため、集客の窓口を拡大しても案件を処理できない危険性もあります。
その場合はどっちつかずの状態になってしまいますから、軽々に難関資格に挑むのは時間や金銭的にも勿体無いので、ご自身の組織力をしっかり分析して、「ここぞ」という時にダブルライセンスを取得すべきだと思います。
司法書士の関連資格は、本記事で取り上げたもの以外にも公・民あわせると相当な数が存在します。長く仕事をしていると自然と様々な資格をライセンスしている状況になっていくと思います。
ふと気がついた時には資格はたくさん持っているけど専門性や特色がない、あるいは資格の組み合わせが上手く機能していないと言った状況に陥る事も考えられます。
これでは、折角時間とお金を掛けて取得した資格も無駄になってしまいます。「自分のビジネスに不足しているものは何か?」を棚卸しして、効果的な資格取得戦略を考える事が重要です。
資格講座でダブルライセンスをお得に実現
独学で復数の資格を取得するのはかなり大変な作業となりますので、資格講座の受講を考えている方も多いと思います。資格講座は講義による高い学習効果が見込め、近年の通信講座はe-ラーニングによって、時間あたりの学習効率も高いです。
メリットの大きい資格講座ですが、どうしても独学に比べて費用がかさむ点がネックとなります。ダブルライセンスのために復数講座を受講すれば、なおさら費用がかさんでしまいます。
資格講座の中には「ダブルライセンス割」や「他資格優遇制度」と言った形で、ダブルライセンスをお得に実現するためのうってつけの制度を持っている資格講座があります。
以下の記事ではこのような制度を持っている資格講座をまとめていますので、一度チェックしてみる事をおすすめしておきます。