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司法書士試験の合格率はなぜ低い?理由を徹底解説!難易度・傾向・試験制度の落とし穴を分析

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司法書士試験の合格率が低い理由と対策

司法書士試験の合格率を見て「合格率低っく!」と思われた方も多いと思います、たしかに司法書士試験は難関だと思いますが、合格率がどうしても低くなってしまう様々な要因があります。

司法書士は法律系資格の最高峰と言って良いと思います、資格の持つ強力な権威性やブランド力は代えがたいものなので、努力して資格を取る価値は十分ありますから、合格率だけを見て諦めるのは勿体ないと思います。

本記事では司法書士試験の合格率・傾向を分析し、合格率が低くなってしまう理由を解説致します。司法書士試験合格を目指す皆様、まずは「敵」を知る所からスタートして対策を練ってみましょう。

司法書士の合格率の推移をチェック

司法書士試験の合格率の推移

司法書士試験の合格率は大体4%前後という非常に狭き門となっています。方向性としては年々微増と言った傾向を示していますね。

資格試験の種類によっては合格率が毎回大きく動くものもあるのですが、司法書士試験については例年非常に安定した合格率となっています。これは司法書士試験が「相対評価」の試験となっているためです。

相対評価の試験では合格基準が毎回少しづつ変動するという事が起きます。合格基準を毎回動かす事で、合格者の数を一定に保つように調整が入っていると言われており、結果的に合格率が安定してくる訳ですね。

合格基準を調整する事で司法書士の持つ高いブランド力を維持し、合格者の知識水準を高いレベルで維持する戦略を採っていると言えるでしょう。

「調整と言ってもほんの数点じゃん!」と思われるかもしれませんが、合否のボーダーラインにいる受験生は多いので、少しの調整でも合格者数を大きく調整可能と言えるでしょう。

たかが数点、されど数点です。たったの1点で涙を流さないようにしたいもんですね。

「合格率が若干右肩上がり・・・!?」と思われた方、「実はチャンスなんじゃないの?」と思われるかもしれませんね、しかし、以下の受験者と合格者の数を見てみて下さい。

■司法書士試験の受験者・合格者の推移
開催年度 受験者 合格者
2011年 25,696人 879人
2012年 24,048人 838人
2013年 22,494人 796人
2014年 20,130人 759人
2015年 17,920人 707人
2016年 16,725人 660人
2017年 15,440人 629人
2018年 14,387人 621人
2019年 13,683人 601人
2020年 11,494人 595人

受験者の数が減少傾向にもかからず、合格者の数はそこまで減ってないので計算上合格率が上昇していると分析できます。残念ながら、司法書士試験の出題内容が「易化」したため合格率が上昇したとは言い難い状況です。

司法書士と関連資格の合格率を比較してみよう

司法書士と関連資格の合格率を比較

司法書士と関連の深い資格の合格率と比較すれば、より難易度が明確になると思います。司法書士と相性の良い資格の「合格率・受験条件・勉強時間の目安」を整理してみましたので、お持ちの資格やよくご存知の資格と比べてみましょう。

■関連資格との比較
資格名 受験資格 学習時間の
目安
合格基準 合格率
(2020年度)
行政書士 フリー 800時間 絶対評価 10.7%
宅地建物取引士(宅建士) フリー 300~500時間 相対評価 17.6%
不動産鑑定士(短答式試験) フリー 800~1,200時間 相対評価 33.1%
不動産鑑定士(論文式試験) 短答式試験合格者 1,200~2,900時間 相対評価 17.7%
社会保険労務士 学歴・実務経験等 800~1,000時間 相対評価 6.4%
税理士 学歴・他資格取得前提等 1年~10年 相対評価 17.3%
土地家屋調査士 フリー 1,000~1,500時間 相対評価 10.4%
中小企業診断士(1次試験) フリー 1,000時間 絶対評価 42.5%
中小企業診断士(2次試験) 1次試験の合格 300~500時間 相対評価 18.4%
■注意事項
  • 学習時間の目安は一般的な情報に基づくものです。学習レベルによって異なり個人差がありますので、参考程度とお考え下さい。
  • 宅地建物取引士は10月実施分の合格率です。
  • 税理士は全11科目それぞれの合格率の平均です、全ての科目に一発合格した値ではありません。
  • 合格基準については、傾斜配点を行っている試験や配点が公表されない試験については一部予想に基づくものがございます。

記載の資格の大部分は以下の記事で特集していますので、「何が出来る資格でどのような特徴があるのか」を詳しく知りたい方はご一読頂ければと思います。

司法書士のダブルライセンス、相性の良い資格を厳選紹介!相乗効果の高い関連資格とは?

試験制度や受験資格などの違いはあるので単純に比較するのは難しいのですが、合格率を見比べると司法書士は合格率が低い事が分かると思います(税理士は別として)。

また、司法書士試験の学習時間は一般論として3,000時間は必要と言われていますので、他資格と比べても長い学習期間が必要という事になりそうですね。

「分かっちゃいたけど、やっぱ司法書士試験難しいんだな・・・」というのが正直な感想だとは思います。

確かに、司法書士試験は表面上の合格率は「難関」と言える値となっていますが、合格率が低くなる幾つかの理由がありますので、続けて解説して行きます。

受験資格フリーによる弊害

司法書士試験は受験資格がない事が難易度を上昇させている

司法書士試験は、受験する分には年齢・学歴・実務経験等の受験条件が一切存在しないフリーな試験です。受験料さえ支払えばたとえ実力が伴っていなくても受験は出来てしまいます。

下記グラフはここ最近の出願者数・受験者数と「受験者数 ÷ 出願者数」の割合、すなわち受験率の推移を示しています。

司法書士試験の受験者数・受験率の推移

受験率は概ね80%程度で推移していますので、約20%の方は申し込んだけど受験しなかった、という事になります。直前模試の結果が散々だった等理由はあるでしょうが、結局の所実力が十分ではないので諦める方が相当数いらっしゃるという事になります。

それでも数千円は払っている訳なので、せっかくだから受けとこうという「記念受験」、いわゆる冷やかし受験する方が相当数潜んでいると言えますので、合格率が低く出てしまう要因の1つと言えます。

ちなみに、2020年度試験において受験率が「カクッ!」と下落している原因はわかりますでしょうか?これは「コロナウイルス」の影響が少なからず出ていると思います。

実はこの傾向、司法書士に限らずあらゆる資格試験に見られる傾向です。世界的な流行が思わぬ所に影を落としています、早く収束して欲しいものですね。

司法書士試験の受験者数の減少傾向について

少し話はそれますが、減少傾向にある受験者数についてもここで触れておきましょう。減少の理由は大きく2つあると思います。

1つは単純に資格試験を受ける母数が減っている事に起因しています。我が国日本は少子高齢化のピークにありますから、資格試験を受けるホットゾーンである20~30代が減少している事が要因の1つだと思います。

もともと受験者数が少ない「難関」と言われる資格ほどその傾向は顕著だと思います。

2つ目は、例えば「宅建・簿記」など、安定重視の資格を受ける傾向にあるという事になると思います。司法書士は持っていれば「手当が付く・昇給する」と言った資格とは性質が異なり、独立志向の非常に強い資格と言えます。

昨今の不安定な情勢から、企業に属して安定的に収入を得る事が出来る、コスパが良いとされる資格に人が流れていると言えます。逆にライバルが減っている訳なので、司法書士を目指すならチャンスとも言えますね。

「将来AIにとって変わられる!」という、将来を不安視するような情報も受験者数の減少傾向に拍車を掛けていると思います。手続きだけを行う「事務屋」では当然生き残る事は出来ませんが、顧客(人間)との会話によって仕事を行う法律家である以上、AIにとって変わられる事はないと思います。

司法書士試験の出題範囲の広さ

司法書士試験の出題範囲が広い事が難易度を上昇させている

司法書士試験の出題科目は全11科目の広範囲に及んでおり、科目別の合格もないため年一発勝負の試験でこれらをまんべんなく得点する必要があります。

■出題形式・科目別・出題数
出題形式 出題科目 出題数
択一式(午前)
  • 憲法:3問
  • 民法:20問
  • 刑法:3問
  • 会社法・商法:9問
35問
択一式(午後)
  • 民事訴訟法:5問
  • 民事執行法:1問
  • 民事保全法:1問
  • 司法書士法:1問
  • 供託法:3問
  • 不動産登記法:16問
  • 商業登記法:8問
35問
記述式(午後)
  • 不動産登記法:1問
  • 商業登記法:1問
  • 2問
    口述試験 筆記試験で出題される科目(不動産登記法・商業登記法・司法書士法)について、試験管の問に対して質疑応答する形式。

    赤字で示した科目は出題数に占めるウェイトが大きいので、司法書士試験の「主要4科目」と呼ばれています。

    択一式に関してはこれら主要4科目でしっかり得点を稼ぐ事が攻略の鍵となっています。「ここだけ押さえれば受かるのか!」と思われがちですが、科目1つの出題範囲が半端なく広いため、生半可な努力では得点する事もままなりません。

    例えば民法は最も出題数が多いですが、その条文数は軽く1,000を越えます。出やすい出にくいの傾向はある程度あるものの、これだけの条文を丸暗記するのは到底不可能ですし、どうやって勉強すれば良いのか途方に暮れてしまいますね・・・。

    広範囲な学習範囲を網羅するには、長期的な学習計画をしっかり敷いて日々の学習を完全ルーティーン化する必要があると思います。

    学習範囲が広いなら「主要4科目を徹底的に100%正解して受かるぞ!」という戦略も考えられるのですが、そこに足切りの存在が立ちはだかります。

    合格基準(足切り)の存在が受験生を苦しめる

    司法書士試験は足切り制度のせいで難易度が上昇している

    司法書士試験は相対評価試験という時点で「大当たりの年」に期待出来ないだけでなく、更に試験制度としての「足切り」の存在が非常に厄介です。

    ■筆記試験の合格基準の推移
    開催年度 択一式(午前)
    105点満点
    択一式(午後)
    105点満点
    記述式(午後)
    70点満点
    合格点
    280点満点
    2016年度 75点
    71.4%
    72点
    68.6%
    30.5点
    43.6%
    200.5点
    71.6%
    2017年度 75点
    71.4%
    72点
    68.6%
    34.0点
    48.6%
    207.0点
    73.9%
    2018年度 78点
    74.3%
    72点
    68.6%
    37.0点
    52.9%
    212.5点
    75.9%
    2019年度 75点
    71.4%
    66点
    62.9%
    32.5点
    46.4%
    197.0点
    70.4%
    2020年度 75点
    71.4%
    72点
    68.6%
    32.0点
    45.7%
    205.5点
    73.4%

    それぞれの試験「択一式(午前)・択一式(午後)・記述式(午後)」に対して基準点が定められており、どれか1つでもクリア出来ない場合は、足切りに引っかかって不合格となってしまいます。

    足切りは存在するだけで合格の可能性を大きく下げる要因となります。更に弊害として「得点しやすいところだけ稼ぐ」学習戦略が取り辛いため、どうしても学習範囲を広げざるを得なくなります

    結果、個々の得意科目をしっかり掘り下げる事が難しくなってしまうため、「この科目だけは絶対に自信がある」と言う状況まで持って行きづらくなり、メンタル的にも厳しいものになります。

    結局、実力が十分ではない状態で本試験に臨むケースが多くなります。約20%の方が申し込んだけど諦めてしまうというのも頷けます。「勉強したけど申し込まなかった」という方は、潜在的にかなりいらっしゃると思います。

    司法書士試験は「弱点のないパーフェクトヒューマン求む!」という試験制度ですが、それだけに資格の権威性やブランド力は最高峰と言って良いと思います。

    複数のテスト(出題)形式が混在する試験

    司法書士試験は複数のテスト(出題)形式が混在する

    司法書士試験の出題形式は、以下の通り大きく3つに別れています。

    ■司法書士試験の出題形式
    択一式 提示された5つの選択肢の中から正しいものを選ぶ「五肢選択式」の試験です、マークシートに解答を記入する資格試験でよくあるタイプの出題形式なので、皆さん馴染み深いと思います。
    記述式 記述式の試験では「登記の申請書」を作成します。事実関係や補足資料などの情報が与えられた上で、それらに関する問題が出題されます。登記の目的、申請事項、添付書類はどのようなものが必要なのか、そして税額など司法書士の実務をそのまま試験にしましたと言った内容です。
    口述試験 口述試験は、受験生と面接官が対面形式で行う面接試験です。面接官は「司法書士法」「不動産登記法」「商業登記法」の3科目の中から質問を投げかけて来るので、受験生は回答を行います。

    記述試験は登記の申請書を作る作業なので、択一式の試験対策とは全く別物と捉えたほうが良いでしょう。ぶっつけ本番でどうにかなるものではありませんから、訓練が必要です。

    口述試験は科目的には筆記試験の内容に沿ってはいるものの、相手の言うことを理解してその場で答える訓練が必要となります。口述試験は一種の通過儀礼なので落ちることは無いと言われていますが、対策は必要です。

    「マークシートだけならまだ楽なのに・・・」と思うのも無理はありませんが、複数の出題形式で構成されていますので、残念ながらマグレで合格するという事は100%ありえないと言って良いでしょう。

    このように司法書士試験は出題形式に対応した対策・訓練が必要なので、それぞれの完成度を上げるのは骨の折れる作業と言えるでしょう。

    タイトな試験時間に四苦八苦

    司法書士試験はタイトな試験時間

    ついでなので時間的な観点からもアプローチしてみましょう、まずは以下の筆記試験のタイムスケジュールを御覧ください。

    ■筆記試験のタイムスケジュール
    午前・午後 着席時刻 試験時間
    午前の部 09:00 09:30~11:30
    午後の部 12:30 13:00~16:00

    午前の部は2時間割り当てられており、「択一式35問」に解答する必要があります。単純計算で1問あたりに割ける時間は「120分 ÷ 35問 ≒ 3.4分」となります、余裕がありそうで実はほとんどないので、悩んでいる暇はないと言えます。

    午後の部は3時間割り当てられていますが、「択一式35問+記述式2問」に解答しなければなりません。午前の部の考えを踏襲すると、2時間で択一式に解答して、あと1時間で記述式に解答すれば良さそうですね。

    しかし、実際は記述式1問あたりの解答に要する時間は最大60分程度取られるため、択一式に避ける時間がなんと60分しかないというのが現実です。つまり「60分 ÷ 35問 ≒ 1.7分」となるわけです。

    ここまで基準点や出題範囲の広さなど様々な合格率が下がる要因をご紹介してきましたが、最後の最後に「時間がとにかく足りない!」という問題が浮上して来ましたね・・・。

    司法書士試験の合格率総まとめ

    司法書士試験の難易度分析まとめ

    司法書士試験は主要4科目で得点するなどのコツはありますが、裏技や特効薬というものが存在しないと思います。それだけに日々の努力が評価される、純粋な実力が試される試験であると言えます。

    司法書士という最高の権威性とブランドを手にするのは、簡単では無いと言うことですね。それだけに、合格者のツイートを見ていると喜びが大爆発しているのがわかります。

    長期に渡る学習期間が必要なので、始める前にしっかりとした計画を練っておくのが鉄則です。ここをおなざなりにすると、結局ダラダラ何年も再試験を受ける羽目になってしまいます。

    期間が長いという事はそれだけ途中で諦めるリスク、あるいは計画が狂うリスクが跳ね上がるという事です。独学で合格を勝ち取る方ももちろんいらっしゃいますが、学習計画を練って自ら遂行出来る「自己マネジメントのセンス」のある方は正直一握りだと思います。

    この点については試験対策のプロである資格講座に上手に効率よく手引してもらうのが良いかと思います。

    以下の記事では、おすすめの司法書士の資格講座をレポートしていますので、独学で今ひとつ実力が伸び悩んでいる方や、1人で学習を継続するのに不安のある方は是非参考にして頂きたいと思います。

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